「水曜日のふくろう」

大嵐のあとだった
風に巻き上げられたまだ緑の葉は
地面にはりついたまま 踊り疲れて眠っていた

静まり返った時間 夜と朝のあわいに
一羽のふくろうは忙しく働いていた
南のほうと東のほうに
知らせを持っていかなきゃならない

ふと目が覚めたとき まだ外は暗かった
生まれたてのしずくが落ちて光る音がした
あるいはそれは朝露だったかもしれない

また目を閉じると
遅れた風があわてて頬をなでていった
あたらしい秋の匂いがした

ふくろうは戻ってきた
年とった銀杏の樹の肩で休んで
まばたきを二回と 大きな身ぶるいを一回
ホーホーホーと三回鳴いた

私は 水曜日に生まれた
大嵐のあとだった

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坂元小夜(Sayo Sakamoto)
東京生まれ東京育ち。大学で芸術文化を学び、卒業後はインテリアデザインの会社に就職。フラとサーフィンがきっかけでハワイのとりこになる。退職後ハワイに足繁く通いながら2006年、リトルプレスの活動を始める。その活動の中、自然と人間、言葉と人間の関係について追求していくことを心に決める。こどもたちと地球の未来に働きかけるプロジェクト「PACIFIC」を仲間たちと構想中。料理と読書が趣味。モットーは地球によりそって生きること。ウェブマガジンマカナ編集長。

Web magazine makana
http://www.makanamagazine.com

「金曜日のクラゲ」

デイトストリートから
夕闇に溶けるワイキキを見おろして
自転車で坂道を駆けぬけたんだ
紫がオレンジを飲みこんだとき
滲んだ月が 電線の隙間を流れた

もうすぐキミに会える 金曜日の夜
世界はどうしてこんなにきらめいているの?
自転車にのって ボクは風になる
口ずさむのは ゴキゲンなオザケン

渋滞のカパフルアヴェニュー
ヘッドライトの波間をぬって
自由に泳ぐ ボクはクラゲ オーバーラップする光
クラクション 甘いドーナツの匂い
ちょうどいいスピードで
陽と闇のあいまを泳ぐボクは
自転車に乗ったクラゲ

ここだけのハナシ 信号は目安
うかれた対向車の 眩しい残像のカケラ

いつかのにぎやかな金曜日
ボクがこの世界から消えるとき
キミのまぶたの奥に
細い光の道筋が見えるだろう

大好きなキミの名前を呼ぶよ
自由に泳ぐ ボクはクラゲ
キミのまばたきの間だけ
闇を白く照らすだろう

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潮 千穂 (Chiho Ushio)
ハワイ在住。フォトグラファー、エッセイスト。日本大学芸術学部放送学科卒業後、Sony Music Entertainmentにてミュージックビデオ、ライブドキュメンタリーの映像ディレクター、プロデューサーとして活躍。2006年、フリーダイビングをきっかけにハワイ島を訪れたのを機に、その豊かな自然と人々の暮らしに魅せられ、Hawaii Community Collegeヒロ校にてハワイの文化を学ぶ。2009年、Hawaiian Lifestyle フラ学科を卒業し、現在ハワイを拠点に「環境と自分との繋がりを見つめ直す」ワークショップの開催、パシフィックアイランダーのライフスタイル、アートをテーマに写真や映像のプロジェクトを進行中。

チホのハワイ リノリノ日記
http://ameblo.jp/chiholinolino/
現在「MISS」(世界文化社)にてよしもとばなな“ゆめみるハワイ”の写真連載中

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