
「ピクニック」
ここで 湿った土に横たわって
木漏れ陽が作る光のダンスを いつまでも眺めていよう
あなたの髪がまた風でそよぐのをじっと待っていよう
羊歯の葉が大きく揺れ 絡まった巨樹の枝はぶるぶると震え
鳥たちのさえずりが木霊している
ここで 遠くの海を想いながら
森のざわめきが作るオーケストラに耳を澄まそう
あなたの目の碧さに 海と空を見分けられるまで
画家が昨日の景色を捨てて 今日の景色を描いている
誰の足あとかはもうわからない
ここで 持ってきたごちそうを食べよう
枯れ葉の絨毯に腰をおろして熱いお茶を淹れて飲もう
湯気をかき分けて匂いの記憶をたどろう
すべてのものの過去と未来がゆっくりと移動して
森の空気が変わっていく
夜になると海を照らす灯台のあかりは
この森にも届くのだろうか
月明かりをさえぎる鬱蒼とした濃緑は
夜をいっそう長く 闇をいっそう深く
動物たちのさみしそうな声は
気が遠くなりそうな夜を数えている
ここで 星を数えながら一緒に朝を待とう
太陽におかえりと言って 太陽のただいまを聞こう
あなたの横顔が染まっていくのを
森の匂いが移ろっていくのを
風がぶつかりあってはじけるのを
ずっとここで感じていよう
いつまでもこの場所であなたと暮らそう
ここで めぐるもののひとつになろう
(谷川俊太郎『地球へのピクニック』に着想をえました)
![]() |
profile
坂元小夜(Sayo Sakamoto) |

(coming soon)
更新までもうしばらくお待ちください
![]() |
profile
潮 千穂 (Chiho Ushio) |




Copyrights © 2010 Web magazine makana All Rights Reserved.