008 橋本雅子


「ちぎり絵」というと、真四角の色紙に和紙をちぎって貼った、和風の植物や風景の作品を思い浮かべませんか? でも、まあこさんこと橋本雅子さんのちぎり絵は違うんです。色鮮やかに描かれたものたちが、表情豊かに生き生きと輝いているのです。まあこさんが好きなハワイの景色や植物、フラがモチーフのものも多くあります。実は、同じスタジオでフラを習っている、私の大切なフラシスターでもあるまあこさん。スタジオに飾られているちぎり絵がいつも気になっていて、しかも、まあこさんは呼吸法の先生もしているとか。なにやら魅力的な引き出しをいくつも持っていそうなただならぬ雰囲気を漂わせているまあこさんに、いつかお話を聞いてみたいと思っていたのでした。

まずちぎり絵の話から聞かせてください。始めたきっかけは何ですか?

あれは2000年のことで、今はもうないのですが当時渋谷にあった和食料理屋さんに飾ってあったちぎり絵を見たのが最初の出会いです。それまで、特に絵を描くのが好きだったわけではないのに、そのちぎり絵を見た時に「これだ!」と思って電気が走るような感覚がありました。そのちぎり絵はいわゆる和風のちぎり絵だったんですが、これなら私も好きなハワイを表現する事ができるんじゃないかって、直感的にそう思いました。そのあと、自己流で作品を作り始めたのですが、なぜだか自分のやり方に間違いはない気がして、とてもワクワクしながら楽しんで作品作りに没頭しました。今になって当時の作品を見ると、仕上がりのクオリティは30%ぐらいなんですけど、それでもその時の自分でないと作れないものだし、思い入れもあって、今でも大切にしています。

ちぎり絵というと、どのような制作過程なんですか?

台紙にだいたいの下絵を描いて、そこに和紙をちぎって貼りながら描いていきます。ひとつの作品を作るには、だいたい一ヶ月くらいかかります。和紙が大好きなのですが、いつも地方に旅行に行った時などに和紙屋さんに寄って買い集めています。和紙の色合いや匂いが大好きだし、地域によって質感が違うのもおもしろくて、和紙を見に行くといつも時間を忘れてしまいます。作るときは、自分がそのちぎり絵を飾りたいかどうかをポイントにしていて、自分が欲しいと思わない作品は作らないようにしています。明るくいい気持ちになれるような作品を作りたいので、気分が優れないときは、たとえ締め切りが近づいていても、思い切ってその日は作業をしないようにしています。作る人の気持ちが落ち込んでいると、暗い雰囲気の作品ができてしまいますから。

ちぎり絵の初仕事は、なんと怪獣の絵の依頼だったそうですね(笑)。

そうなんです。ちぎり絵を作り始めて2〜3年たったころだと思いますが、知人でガメラの指人形を作っている人がいて、その指人形を販売するための台紙をちぎり絵で作ってくれないか、という依頼をもらったんです。それが初めての注文でした。そのお店の方からの次の注文が、怪獣映画のワンシーンをちぎり絵にしたものっていうことで『ゴジラ』だったと記憶していますが、怪獣ギャオスが闘いの後に、美しい夕暮れを背景に折れた東京タワーに止まっている、という場面をちぎり絵にしたのですが、それは自分でもとても気に入った作品になりました。

そのあとは、どんなお仕事をされてきたのですか?

不思議なご縁だったのですが、私がつくり貯めたちぎり絵でカレンダーを作り、友人にプレゼントしたら、それをたまたま見た方があるNPO法人の会報誌を編集している方で、主宰している方にもお見せしたら気に入っていただいて、会報誌の表紙の依頼をくださったんです。当初は一年契約だったのですが、結局2004年から2008年まで計5年間もそのお仕事をさせていただきました。その後は、私は呼吸法のインストラクターもしているのですが、たまたま一回だけワークショップに来た方が私のちぎり絵を見ていいと思ってくださって、とある介護施設のインテリアとして提案してくれて、新しい施設をオープンするたびに注文を頂いています。


なんだか、ちぎり絵を通してご縁が広がっている感じですね。そういえば、呼吸法も教えているとか。

実は、呼吸法の方がキャリアは長くて、もうかれこれ20年くらいになります。これも不思議なご縁で、ひょんなことから知り合った方に呼吸法を伝授していただき、呼吸法のインストラクターとして働くことになったのです。自ら志望したというよりは、なんだか気づいたらそういうことになっていました(笑)。しばらくして呼吸法を教えることからは遠ざかっていたのですが、どうも体の調子が悪くなって行くような気がして、2004年から自分流のメソッドを加えアレンジしてワークショップを再開したのです。生徒さんが一人でもいてくれる限りは続けよう、と思っているのですが、私のワークショップに来てくれている生徒さんがみるみる明るく輝いていくので、そうすると周りの方も気づくみたいで、今度はその周りの方がワークショップに来てくれたり、とご縁が広まってくれてとても嬉しいです。

ちぎり絵の話に戻ります。今年、展覧会をされたそうですね。

ちょうど震災あった日の前日から東京・自由が丘で展覧会をしていました。友人が私のちぎり絵にぴったりだから、と場所を探してきてくれて。もし震災の当日やその後からの日程だったらきっと開催していなかったと思います。展覧会の会期中は、私の娘もフラを踊っているので、娘のフラを披露したり、友人に歌を歌ってもらったり、予定していたイベントはなんとか予定通り行うことができました。みんなが不安なときでしたが、踊りや歌は人の心を癒しますから、いい機会が持てて感謝しています。


最近ちぎり絵と呼吸法の絵本を作ったそうですね。

かねてから絵だけではなく、文章でも表現してみたいと思っていたのですが、今回は、私の教えている呼吸法をわかりやすく、入りやすく、多くのひとに知ってもらいたいという思いから、呼吸法にハワイのモチーフのちぎり絵をつけて絵本にしたんです。その名も『あろは〜こきゅう』です。

今後の予定や将来の目標を教えてください。

ちぎり絵でやってみたいことがたくさんあるんです。モノトーンの色彩だけでも作ってみたいし、包装紙が好きで集めているんですけど、包装紙でちぎり絵を作ってみたい。ハワイだけでなく沖縄も好きなので、沖縄のモチーフの作品も多いのですがハワイや沖縄だけでなく、旅をして気に入った風景や植物など作品にしたいと思ったものを作っていきたい。自分のやりたいという気持ちだけではきっとここまで続けられなかったかもしれないのに、ちょうどいいタイミングで注文が舞い込んだりすることが多くて、神様は私の性格をよく知っているなあと思います(笑)。さまざまなご縁に恵まれていままでちぎり絵をやって来れたので、これからも私はちぎり絵を一生懸命やりたいと思います。



まあこさんの話を聞いていると、まあこさんがいかに引き寄せの名人かということがよくわかります。そのときの流れや、人の依頼に逆らわずに、うまくその流れにのっていく。すると未来は自然とよい方向に開いていく。肩に力が入り過ぎていない、ちょうどよい脱力加減はさすがです。でもけっしてて受け身ではなく、創作への情熱には熱いものがある。まあこさんのちぎり絵が、何か不思議な力をもっているように見えるのは、まあこさん本人の生き方や、バランスの良さが理由なんだと思います。

☆プレゼントのお知らせ☆ インタビューの中でもご紹介した、まあこさんの呼吸法とちぎり絵の絵本『あろは〜こきゅう』を3名様にプレゼント!ご希望の方はinfo@makanamagazine.comまでメールで『あろは〜こきゅう』希望と明記の上、ご連絡先をお知らせください。締め切りは10月31日(月)。応募多数の場合は抽選とさせていただき、diaryのページで発表します。

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Profile

橋本雅子
ちぎり絵作家。
呼吸法インストラクター。

愛媛県松山市出身、東京在住。短大卒業後、お笑いタレント「おきゃんぴー(まあこ)」としてバラエティ番組を中心に活躍。その後芸能界を引退し、小池聡行氏(前オリコン社長)に呼吸法を師事。2000年からちぎり絵を描き始め、2004年からは独自のメソッドを取り入れた呼吸法を伝える活動をしている。現在、東京・東中野で定期的に呼吸法のワークショップを開催。ちぎり絵の個展も各地で開催している。
http://ameblo.jp/hauoli-laakea

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